- 2014年2月26日 14:02
オワリカラ "サイハテソング"PV
http://www.youtube.com/watch?v=WgruA8IkBCw
今日は2月26日の水曜日。
今日はリリース集中日。
MARQUEE Vol.101 的には、
表紙:BABYMETAL、裏表紙:Dorothy Little Happyの2組が、
今日リリース日ということで、祭りです。
もちろん他にもリリースはいっぱい。
ずっと連載しているオワリカラ『サイハテ・ソングス』も、今日リリース。
タカハシヒョウリという個性の塊みたいな濃い中心メンバーがいて、
コイツが熱くてインテリでジャンプ力もあって趣味も偏重してて、
バンドの音に反映してガツッと屈折したままストレートっていう、
最高のパターンを描き続けてるわけです。
このマニアックな感じはたまらないなぁ、
と思ってずっと取材し続けてるんだけど、
この間、彼とガッツリ話した本誌連載掲載分を記念でブログアップします。
「アイドル現場から学んでほしいこと」の続編(実践編?)です。
様々ツイッター上で反響いただき嬉しかったです。
今はアイドルも大好きですが、
究極言いたかったのは、「愛情の示し方が物事を動かす」ってことです。
ホント"気持ち"ってものがないと本当、現場って豊かにならない。
それをアイドル現場から強烈に感じているってことです。
今のアイドルの在り方にも様々問題があったとしてもです。
今回はものすっごく長いです。時間のある時に一読を。では。
↓
MMMatsumoto(MARQUEE編集長) テーマは音楽シーンやミュージシャンの在り方なんだけど、どう見えてますか?
タカハシヒョウリ 悔しさがかなりある。すごく良い音楽やってるバンドがいるのに、これ程見逃されてることが。そういう格差社会が極端になってる。マスとコアの中間部分が無くなってしまってるのが悔しい。そういうバンドがあからさまに疲弊してるのが悔しい。
MMM だとしたら尚更、届かせることが議題かと。音楽自体が問題という以上に、音楽の聴かれ方自体が変わったから。
タカハシ そうだね。だから届かせ方の変化も、音楽本体に自信があったらできるはずなんですよね。売り方に関して固執していて、変化を拒んでしまうっていうか。
MMM いつも問われない聴く側の責任、それもあると思うし。でもミュージシャン側からそれを指摘はできない。
タカハシ まあ俺は言うけどね。分かんないっていうことに対して、もどかしさが無いんですよね。分かんない、じゃあ分かるまで聴こうっていうのが以前はあったんじゃないですか。その分かんねえものを分かりたいって欲求が今の聴く側に感じられないんだよね。
MMM それは音楽に対しての信仰が薄れてるから。そこが問題なわけですよ。じゃあその状況に対して、音楽家はどうアプローチするのか。もちろん中心核は音楽なんだよ。そこから発生する部分で例えばプロモーションとか、聴き手に対するアプローチ・届かせ方っていうことを考えてたんだけど、もうそのレベルでは足らない時代に入ってしまっていると僕は思っている。何が有効だろうと思うと、一つにはアイコンの使い方。キャッチーさ。ミュージシャンはこれが下手。それ以前に自分の持っているキャッチーさや武器になるだろうアイコンに自覚的じゃなさすぎる。今はそこをひとつひとつ磨いて、それを橋渡しにして音楽を届かせないと、もう立ち行かないと思う。
タカハシ 僕もそうだと思うんだけど、僕らってあまりにも結果を多く知りすぎてる世代だから、その知識が逆に足枷みたいになってるのかもしれない。物事を知るっていうことは可能性を狭めることでもあるから。すごく今みんな知りたがらないっていう風に思ってるんですよ。例えば最近ムック本とかっていっぱいあるじゃないですか。そういうものって若者は多分買ってないと思うんだよね。なんか知るっていうことが逆に自分の逃げ場所を狭めるんじゃないかっていう風に思っている怯えみたいなのが、若い人達はあるんじゃないかな。でも僕は実際逆だと思ってて、知識を得た上で更に自主的に選択した場合が圧倒的に強いと思ってるけどね。
MMM いわゆるネタバレを嫌う傾向ですよね。それなりに情報キャッチして自分で咀嚼したい感覚は、SNSの時代の前提だよね。
タカハシ それはそうだよね。強まってるのも多分事実だと思う。でも結局その自分の気持ちじゃん、それって。そこにしか多分何も無いっていう。それ以外のものを排除しようとしてる感じ?
MMM コミュニティの悪癖ですよね。省く、叩く、という。
タカハシ 世界っていうのが無いのかな、多分。外部としての世界っていうのがさ。もう別物なんでしょうね。自分と関わりの無い対岸のことっていうか。その真っ直中にいて、しかも自分の人生だったら、そこの中心に自分がいるっていう感覚が無いのかもしんないなあ。すごく遠くを見てないっていう部分があるのかもしれない。
MMM コミュニティ感性でいるからTwitterでも自分のいる位置を書いたりするわけですよ。ストーカーも他者も、つまり外側が想定されてない。それが今の基本的な在り方なんだろうと思うんだよね。だから音楽だけに限らない気がする。1つのことが同じようにいろんなコミュニティに伝播するってことが少ない気がするんだよね。だからこそ超マスの事柄となると逆にすごい速度で広がる。共感力は各コミュニティ内で養われてるから。ネタとしての超マスと、身の周りの仲間意識。この二つで自分を成立させてる傾向は強い。
タカハシ 中間が無いってことだ。
MMM そうだね。音楽は今その狭間に陥ってるんだと思う。音楽意識の高い人達はSNS感性でどんどん高まって濃くなってる。けど、その数は、音楽家を自由に活動させれる程のセールス的支えには至らない数ということですよね。
タカハシ 本来ロックバンドってその中間にいたわけですからね。それがすごく...俺はやるけどねえ、そこなんだけどねえ。
MMM でも機能しなくなってきてるよ。その中でバンド・音楽・ミュージシャンはどう立ち回るかを切実に考えて、半歩一歩出なきゃ。その時に何が必要かと言えば、マスな事を知らなきゃ。マスに通じる自分の持ち物は何なのか、自己検証してほしいんですよね。
タカハシ それはひしひしと感じるし、更に言うと僕の好きなものとか僕個人の居る所って、完全にそのどっちでもないっていう。要するにその真ん中の今消えつつある所に軸足があって、それはもう多分一生変えられない。で、マス/コア両方向にも行くっていう戦いをやろうと思っていて。多少醜くてもここまだあるよ!っていうことを大声で言うことが役割なんじゃないかっていう風に思うし。だからやっぱマスからもコミューン的なアイドルからも、すごく学ぶことはあると思う。でも同化はしない。それはもうできないと思うけど。だけどやっぱり、戦いとしてはかなり価値があるっていう気がする。
MMM まあ、短期戦で構えるか長期戦で構えるかでもだいぶ違う。音楽家としては長期戦なんだよ。でも活動っていうことを考えると、短期決戦にならざるを得ない、っていう現実がある。そこのバランスをどう取るかが課題ではあるんだけど。じゃあ具体的にオワリカラはどうすれば売れるんだろう。一番支えてくれるだろう、一番長く聴いてくれるだろう、オワリカラの音楽を愛してくれるだろう人とのコミュニケーションの取り方は確立していかないと、まず基盤の数字が作れない。彼ら彼女達はオワリカラのファンだから、友達にも勧めるだろうと思うんですよ。オワリカラっていうバンドの、すごい良いアルバムが出たんだよって。だからあの子達とのコミュニケーションがまず第一だと思うんですね。ミュージシャンは音楽が作品、勝負だから、やっぱり間接的なんだよね。元々の成り立ちが。だからプロモーションの仕方も伝え方も間接的。それで「作品より本人が前出ちゃ駄目」っていう信仰も強いんだと思う。
タカハシ それはあるだろうねえ。僕もやっぱそういう部分はあるもんね。でも同時に、今の時代の流れも切に感じる。すごく簡単に言うと、アルバムよりもTwitterの方が重要なんだよね、多分、今。音楽っていうのは、ある種付属品になってるっていうか。それはすごくそうだと重々承知してる。その状況で果たしてどうやってやって行くのかっていう。その時自分としてはやっぱり(「作品より本人が前」を)全面肯定できない、そこは、どうしても。それは多分...できないんだよね。俺はやっぱ、音楽が大事だから。やっぱそこの主従関係は多分変化しないんだよ。となれば、今の時代に合ったやり方に関しては、取り入れて行くっていうことになる。そこは柔軟に。だから多分またちょっと違うやり方なのかもしれないけど、それをちゃんと見つけないと、バンド継続もできなくなると思ってるから。何か新しいやり方を見つけたいと思ってる。主従を逆転させたやり方っていうのはまず1個ある。じゃあ、主従を逆転させてないけど、っていうのって無理なんですかね(笑)。
MMM 有り得ると思う。ミュージシャンは実際そこの模索になると思う。それにはバンドがファンを育成していかなきゃいけないんだと思う。
タカハシ おお~、そうね。
MMM 育てていく意識を持つってこと。まずオワリカラ独自のファンを作る。で、共に成長していければ良いわけですよ。その為には本当に1回のライヴ、1枚のシングルに関してちゃんとやってかないと。それを積み重ねてたら1年経ってたっていう状況じゃないと、活動じゃない。
タカハシ すげえそうだねえ。
MMM 僕はアイドルを見ててこれを痛感してるんだよ。生半可じゃないんだって。具体的には、今日の午前の部と午後の部で売り上げ枚数を設定するという考え方。それが半ばゲームになっててオープン気味でもあって。メンバーもファンも、じゃあどうするかって一種ゲーム化されてる。具体的なんですよホントに。だから1日で1500枚、それを7日間やって1万枚を売るんだよ。
タカハシ すごいね。
MMM その為には、期間中日々のライヴを工夫もする。選曲から衣装から特典の付け方から。その積み重ねですよ。そうして1万枚を超える。だから、次の制作にお金が回ってくる。活動も継続できるし利益も上がる。最近これが更に特化したのが、クラウドファンディングっていうシステムなんだけど、アイドルは使ってたりする。東京女子流っていうアイドルが映画を製作します、と。映画の資金が無いのでそれを公募しますとか。公募額を超える約740万円集まってましたね。それも公開される。
タカハシ ああ~、で、スタッフロールとかに名前が入るみたいな?
MMM そうです。制作投資なんですよ、直の。払った金額毎に特典も違う。最低額の500円でもお礼メッセージを送ります、とか。これはある程度知名度があって、何よりファンを持ってないとできない。
タカハシ しかもいわゆるそれって信頼を売ってるわけじゃないですか。
MMM そう、信頼。つまりコミュニケーションの一番濃い部分が見れるんですよ。そこまで来ちゃってる、時代は。これはいずれバンドにも来る。例えばインディーのバンドなんかで、アルバムを作るのにお金が無い。そこで100万円とか設定をして公募するわけです。ファンからすれば、確実に自分の払った100円500円がレコーディングに使われるんだって信頼があるんですよ。どう使うかはバンド側の問題としても。
タカハシ それで良いものが来るって信頼があるからね、やるんだよね。バンドを信じてもらわなくちゃ駄目だってことだ。それは本当そうだと思う。
MMM だからね、本当にコミュニケーションが具体化してきてるんだよ。今までって曖昧なんだよね。金額になって見える形にまでなってきてる。恐らくあのシステムは日本の音楽を含めて、アイドルも全部含めて、成立の仕方を変える可能性がある。
タカハシ 昔の中世ヨーロッパのね。よりシェアされた形っていうことだよね。
MMM そう、これは中世におけるパトロンと芸術家の関係性とまったく同じなんだっていう。このレベルでものを考えていかないと、プロモーションも成立しないと思う。
タカハシ そうするともう...あれだよね、あらゆる意味ですごいクオリティが求められるっていうか。要するに信頼の上で成り立ってるから絶対裏切れないっていう。信じてくれたら裏切らないっていう気概があるやつしかやらない。
MMM でも当たり前だよね、それ。双方の熱の重なり。それが今の時代、絶対必要だと思ってる。僕はそれをアイドルという現場で見たんだよ。特にでんぱ組.incで。ミュージシャン現場に、この"熱"が薄い。
タカハシ 熱だ。
MMM そう。良い曲を届ける熱。それが届いた時にシェアされることの高揚感。この関係性ですよ。昔ファンクラブがあった時代は、これがシステムとして機能してた。まず、オワリカラの今の持ち物検査をもう1回やってほしいです。メンバー内だけでは見えないところもあるから、客観的に見れる周りの人の声も大事。今は大っきな視野で音楽に関係する事を見ないと、多分分からないと思うんですよね。俺も分からなかったんだよ。つい2年くらい前まで。それは現場に行けば誰でもすぐ分かる。ファン達はそのレベルで熱心だから、無償のプロモーションをいっぱいやってくれるんだよね。その人達、平気で100枚単位で買うんで。残りの99枚は撒いてくれるんだよ。なぜなら、そのアイドルを本当に応援してくれるから、良いと思ってるから、聴いてほしいから。じゃあ何故そんなに応援するかなんですよ。そこですよね。そこを本当に考え抜いてほしい。だからやっぱそこが音楽だけだともう伝わらないんだよ。少なくともミュージシャン活動を支える数には達しないのが現状。
タカハシ その子達の熱とかに感動してるってことだよね。
MMM そうです。気迫とか熱情とか真剣さ、まっすぐな感じに。それを目の前で見れる状況を作るっていう、アイドルっていうシステム・成り立ちの分かりやすさ。それが今の時代の勝因なんですよ。つまり元祖"接触"AKB 商法なるものを生み出した秋元氏は、これが全ての普遍的な原動力になることを知ってたわけです。
タカハシ でも熱の形はいろいろだと思うんですよ。今のはアイドルだけど、いろんな熱の形があるはずで、バンドの熱の形もきっとあるだろうねえ。大森靖子とかチャラン・ポ・ランタンとか。
MMM 良い例だね。変拍子バリバリで客いじりも出来る。詞曲含めてコアだと思うしバックボーンもある。1つの芸ですよね。
タカハシ 逆にすごいですよ、音楽に対して誠実ってことだよねえ。伝え方として。
MMM あれは芸として成立する努力をされた結果だと思うんですよ。ただね、大森靖子にしてもチャラン・ポ・ランタンにしても...熱狂を生む感じがするんだよ。
タカハシ 熱だね。
MMM ヒョウリ君はさ、何が武器になると思ってるの? 逆を言うと、どこまでヒョウリ君がオワリカラに対して客観的になれてるかって聞いてるんだけど。
タカハシ うーん、そうだねえ...難しいところなんだけど(笑)。それは多分松本さんが期待してる答えは俺からは出てこないんだけど。やっぱ僕はどうしてももの作り至上主義なんだよ。そこにすごく夢中なんですよ。
MMM もの作りの中でものを考えちゃう? 僕が考えてるのは外側なんだよ。オワリカラの武器は、タカハシヒョウリ君のルックスと、オワリカラが持ってる知的なイメージ。この2つに尽きると思う。そこを磨いて特化すべきだと思う。曲やアクトはこのままどんどん行けば良いと思う。今までどおり熱を注いで。チャラン・ポ・ランタンが毒舌をお笑いにしたように、知的なものが嫌味にならないよう、むしろシャープさとして伝わるように洗練させることだと思うんですよ。広い意味で、タカハシ君がアイドル、アイコンになること。毛皮のマリーズの志磨君がそうだったように。それがオワリカラの音楽をより早く伝える方法な気がする。で、段階がある。いきなりやっても今までのファンを驚かすだけ。しかも新しいファンはオワリカラを知らない。そうすると狭間に落ちちゃって何も売れない、活動すら終わってしまう。だから最初の1年間って大事で、ここを綿密にやらないと。ヴィジョンを具体化するための戦略を立てないと。それはもうミュージシャンがやることではないかもしれない。今のこの音楽状況を見ると。
タカハシ でもそれができる音楽業界人ってものすごく少ないですよね。特にロック系に関わってる人っていうのは。もっとすごい昔の伝統みたいなものに思い出があってやってる人が多いんでしょうね、多分。
MMM その結果が、ジャニーズ25%、AKB陣営25%、その他アイドル25%、これで計75%。それ以外の残り25%が、J-POP、演歌、DJ、洋楽、バンド、全ての合計売り上げなわけですよ。つまり日本の音楽業界というのは、アイドルが滅んだらもう消滅するんだよ。だからいかに多くの人達がキャラクターを求めているかとも言える。でもね、よく考えてほしいんだけど、デヴィッド・ボウイもジミヘンもピンク・フロイドでさえ全盛期には女の子がキャーキャー言ってますよ。映像で確認できるとおり。あの子達、絶対音楽に詳しくない。やっぱりね、彼等もその時代のアイドルでもあったんだよ。
タカハシ 望むと望まないと関わらずね。時代のアイコンていう。
MMM そう。アイコン。だから顔ファンは付けなきゃ、オワリカラも。
タカハシ 顔ファンつけなきゃいけない(笑)。
MMM アイドル界を見てて一番はまずそこですから。100万円分の握手券を貰ってもさ、握手会する時間が無くて、ほとんどが紙屑になる。それでも構わないっていう熱量ですよね。ミュージシャンの場合そこまで熱狂させるものが、顔じゃなく音楽だったら望ましいんだけど、でも俺ね、ここはハッキリ言っときたい。その人のスタイルだって顔だって、持って産まれたものだけど、努力はあるんだよ。それ以上に運も才能の内。ミュージシャンだってセンスはもう持って生まれた配分のものですよ。僕は顔やスタイルも、音楽と同じく才能と対等要素だと思ってる。その人の部分だから。その顔やスタイルを良いと言ってくれる人がいるわけでしょ? それはすごく嬉しいことだと思うんだよね。
タカハシ それはそうだね。
MMM そこから入ってきてもらってもいいじゃん! 繊細さだってヒョウリくんの知的さとして出していければいいし。そこから音楽が伝わっても構わないと思う。
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