- 2015年12月12日 02:33
- MMM
でんぱ組.inc 夢眠ねむ先生の誌面講座でもある連載「まろやかな狂気」。
12/10発売の小誌マーキーVol.112のP53からの続きです。
今回は、アイドルにとって髪型とは何なのかに迫ります。
いつも迫ります。
迫りすぎて、いつも善悪の彼岸まで行って帰ってくるのが、夢眠ねむさんの連載です。
三途の川巡礼、みたいな。
人生一度や二度は、いい悪いを超えて有るもっと貴い何か、得体の知れないものに触れて混乱するっていうのがいいと、僕は思っているのですが、
そのお手伝いが少しでも出来れば、と思っています。
あれ? そういう授業ではない?
あ、すみません。
あと、大事な事が発覚!
アイドルの子達も当たり前な前髪横の触覚、
それは「姫毛」と言うわけですが、
なんと!なんと、あれ命名したの、夢眠ねむさんなんですよーーーーー!
ビックリーーーーー。
って話も今回初披露。
ではでは、本誌からの続きをどうぞ。
↓
て金髪とか茶髪にしたら、『ガーン』てなるっていう衝撃ですよね」
――意識下から「ガーン」て来るっていう何か理由のない感じがね。
「そっか。だから理由がないショックなのかもしれないですね」
――過大過剰な反応をする理由も、何かそういう気がするんですよ。
「そっかー。アイドル髪染めれない問題だ! でも染めたいのかな。私はファンの気持ちで言ったら『ガーン』だけど、意識下の、その支配されてる側だったりもするから、そっちの気持ちも分かるんですよ。そこまで大人じゃない年頃の子達って染めたいんだろうし、それでアイドルを辞めたいみたいな子も、きっと何人かはいると思うんですよ」
――単純に、おしゃれをしたくて、いろんな服を着たくて、髪型もしてみたい女の子がいて普通ですから。
「ねー。ちゃんと男の子のかわいいと女の子のかわいいがクロスした所に平和があるんですかね」
――んー、ねむちゃんはそこどう思います?
「男ウケみたいな事でしょ?」
――そう。
「私、男ウケってアイドルファンが『ガーン』て思う所にあると思うんですよ。一般の男ウケって言うのは。多分茶髪でウェーヴがかかった、ちょっと露出が多い服じゃないですか。それ『ガーン』でしょ?」
――そうなんです。
「だから、もう、アイドルオタクは別の生き物だから、クロスできない(笑)」
――そうなんですけど、そもそもがね、女性がいいと思う物と男性がいいと思う物にはズレある気がするんですよ。生物レベルで。
「あるある」
――特に恋愛的な事だと、その違いが際立つ気がするんですね。むしろクロスするのは一部分という気がする。それを前提にアイドルの在り方を考えると、女の子は媚を売って男の子はそれを喜ぶという、典型的なアイドル型キャッチボールなのは当然というか、それがやっぱり一番安定したアイドル文化の形だと僕は思うんですよね。
「それはすごい思う。ちょっと話がずれて、しかも仮の説なんですけど、アイドル好きの女の子が増えたじゃないですか。それって例えば私達が『かわいいでしょ?』って言ってやる事を、女の子も『かわいい』って言って受け取ってくれてるのか、それともこっからが仮なんですけど、人の気持ちになって考えるみたいなののすごい発達した形なのか。私は、その発達した形の女の子のファンがいるような気がするんですよ」
――30代後半くらいの女性で、そういう人はいますよね。娘を見る感じでもなく、純粋に女性としてかわいいと思ってるんですよ。その感じって、男オタが、女の子アイドルを「おっ、かわいい」と思ってるのと同じ感じなんだけど、もっと心が広い。なぜなら恋愛対象じゃないから。
「あー、そっかそっか」
――基本、男はどうしても生物学上、恋愛対象に見てしまうので、視野が狭くなっちゃう。自分のわがままが入ってくるから。
「私、女の子の方が見方が厳しいと思う」
――多くの女性は、アイドルの太股の太さを許してないですよね。
「私はもちろん女性側だから、女の子をかわいいってする気持ちも分かるし、それを受け取る男性の気持ちにもなぜかすごく成れるんですね。人の気持ちを考えるのの拡大版みたいな感じで、どっちも汲み取れるがゆえに、愛しさみたいな感じで女の子を応援してるような気がして」
――そういう人っていますよね。
「本当は女性なんだけど、自分が男性かのように、女性を性的興味がなく応援してる感じ、なんです」
――そこですよね。性的興味がそこで起こらないとこ。それが発展してくと心の広い30代後半の女性なんですよ。
「そっかそっか」
――思う以上に、そういう人達はいる気がする。
「でも、女の子として女の子を応援してる子が多い気がする」
――女性の代表、先輩的な? 例えばE-girlsを応援するような?
「みたいなだったり、すっごいかわいい女友達みたいな感覚とか。でも、でんぱのファンにも、女の子として見てる子達がいるけど、それはやっぱりセーラームーン要素だとは思うんですね。自分と似たような子達が、何かに選ばれて、ヒロインになれてるっていう憧れ、みたいな応援の仕方だと思うんですよ。だからもっともっとアニメになるぐらいキャラクター性を強めて、というのはでんぱ組の願いなんです。アニメになったら髪も伸ばせるし」
――髪は、やっぱり女性の象徴だからね。
「私最近、久しぶりに思い出して、本当に泣きそうになった昔話があるんですね。恋人同士で寒い冬だったかクリスマスかに贈り物をし合う時に、お金がなくって、女の人はすごくきれいな長い髪をしてて、彼が時計を持ってるんだけど、そのチェーンがないんですよ。あの懐中時計のチェーンを買ってあげたくて、自分の大切な髪を切って、髪が価値があるから、売れて、そのお金でチェーンを買ってあげた。男の人は自分の持ってる財産が時計しかないから、でも女の人に髪をとかす櫛を買ってあげたくて、時計を売って櫛を買ったっていう。もうとかす髪も、付ける時計もないんだけど、お互い相手を思い合って贈り物をしたという話を思い出して、『うー、いい話だなー』って思ったんですよ(笑)。良くないですか?この話」
――いい話! やっぱ髪って、その人の分身ぐらいなイメージだしね。アイドルファンがアイドルの髪を見てる時、潜在的にそう思ってそう。
「私ここでちょっと言いたい事があるんですけど、姫毛ってあるじゃないですか。姫毛って名付けたの私なんですよ」
――え!?
「これは実は美容師の雑誌に載ってるんですけど、美容師がアキバ系の髪型を勉強する会みたいなのが秋葉原MOGRAで開かれた時に。2011年の事です。サエキけんぞうさんとトークショーして、『ここ髪の量がすごい大事なんですよ。アキバの女の子は』と話をした時に、『ここってどうオーダーしたらいいんだ?』みたいになって、女の子にとって大事って意味で『姫毛って言うのはどうですか?』って言って、姫毛になったんです」
――そうなんだ!
「ほんとですよ。ちょっと今検索していいですか? ほらほら。『3月7日、先ほど夢眠さんが姫毛と命名しました。もみあげではなくサイド。大事な毛で、その太さによってアイドルのメジャー~地下の判断基準になる』」
――すげー! 発明じゃん、これ。でんぱがメジャーデビューする直前。トイズの社長さんが来られて、ディアステージで話し合いされてた頃じゃないですか。これもっと言った方がいいんじゃない?
「リクルートがやってたBeauty総研の『HAIR MODE』っていう雑誌です。美容師さんが読む雑誌で、もふくちゃんとゆにこちゃんとリス子もいて。美容師の中での用語として任命されたから、姫毛が広まったんです。これ、ちゃんとソースで出しておいてほしいんですよ」
――姫毛って秋葉原発祥なんだろうね。
「だと思います。でもハロプロには姫毛は無いんですよ。姫毛はみりんちゃんに話を聞くと分かりやすいんですけど、みりんちゃんはもうここぞって時に姫毛なくすんですよ。多分ハロプロの気分なんです。姫毛はなければないほどプロっぽいっていうのが、彼女の持論であると思うんですよね」
――なるほど。
「で、私は全部姫毛なんです」
――前下がりボブは全部、姫毛の集合体だと(笑)。
「そう、姫毛の集合体なの。だってコンプレックスを隠してくれる毛なんで。あそこの境目から、輪郭ではないよっていう印なんですよ」
――なるほど。ねむちゃんが最初のメイドカフェに入った頃、姫毛ってもうあったんですか?
「姫毛っていう名前ではなかったけど、横の毛はあったりしましたね。私はその時おかっぱだったんで。お母さんによく『鬱陶しいからやめなさい』って言われてました。きゅってきつめにしたり、全部耳にかけたりしたらきれいだけど、私の場合は顔を隠したかったので、もわっとしてたんですよ」
――そう思うと今の姫毛は、もはやひとつのファッションですよね。
「ファッションとしてもあると思うし、姫毛のバランスでアイデンティティーとか使い分けてる子達もいると思います。ピンキーも量にはすごくこだわってるし。美容師さんにオーダーする時一番難しい部分だと思うんですよね。そう言えば、りさちゃんが姫毛図鑑を作りたいって言ってましたよ」
――分かりやすすぎる(笑)。
「りさちゃんは私が姫毛って名づけたのを知ってるから、監修で入れてくれるって言ってました(笑)」
――すごいなー。
「でんぱ組もメイクさんが入ってくれてから、キャラクター度も上がったと思うんです。もし時間がなくて、メイクか髪のどっちをやりますか?と言われたら、みんな迷わず髪を選ぶくらい髪型は見え方として大事だと思います。アイドルのみなさんもね、髪型を変える前に、ファンの顔を思い出してください(笑)」
――そこで「女の子」を優先していくと、アイドルから離れていきますよね。
「と思う。アイドルを究極にやり続けるとホルモンバランスがめっちゃ崩れるんですよ。アイドルを貫くと性がアイドルになるんで。だから多分、女の子でいた方が生物学的にはいいのかもしれないんだけど。純粋である事を貫いてるっていうのは、ある意味異常だから。でもアイドルとしてはすごい尊い存在」
――もう一人の自分を作って、そのキャラクターを演じる事に対して違和感ない人か、
「もしくはホントに死ぬほど負けず嫌い。ストイックということはアイドルに大事な条件だと思うんですけど、それを行き過ぎてる所まで行けてたら、本当は嫌でもできちゃうと思う。ちゃんとプロとして、アイドルをやってるっていう事だと思います」
――ねむちゃんはできそう?
「分かんない。私演じてるっていうふうにプレゼンしてるだけで、あんまり演じてないから」
――そのまま生きてますよね。
「そうなの。結構勘違いされやすくて、『ねむちゃんは"夢眠ねむ"をめっちゃ演じてる』って思われるけど、私は作品としてやってるだけで演じてはないんですよ。とんでもなく素だから傷ついたりしてるんですけど、素じゃなかったら、もっと怒ったりしないと思うんです。だからそこは素過ぎて逆に、『ちゃんとやれ』って自分で思うんですけど」
――でもその破綻を込みで作品だって認識でしょ?
「うん」
――自分の行動全てが作品、という認識。"夢眠ねむ"って究極そこですよね。
「そう。怖いですけど。言ったらね、ハプニング系のアーティストの落ち着いてる版です(笑)。感覚的には草間彌生さんとかの系譜だと思うんです」
――そう思うと、前下がりボブはかなり重要度が高いですよ。
「超重要。草間彌生さんの水玉ぐらい大事。水玉が、ミントグリーンとボブなんですよね。アイコンとして確立してる物が分かりやすくて本当に良かったなって思うけど。髪型もそうだし。いろんな緑のアイドルの子が憧れてくれてるみたいな話を聞くと、やっぱ嬉しい。それでおかっぱにしてくれてる子もいて。それって自分自身が憧れのキャラクターに近づけてるということだし、やっぱ嬉しいな」
――人が憧れることでキャラクター度は上がるわけで、でんぱ組のようにそれが商品として流通するくらいまで行けると楽しいですよね。
「そうなったら、なおさら私自身がオリジナルでちゃんと居続けなきゃなって思います。オリジナルでいるためにも髪型変えられない(笑)。頑張りますよ。何か(c)とか付けれたら楽なんですけどね」
――そういう作品表現をすればいいじゃん。(c)付きの髪の毛とか。
「それよりもウィッグを売りたいんですよ。夢眠ねむの髪型の」
――それ、名案!!
「今ってドン・キホーテやヴィレッジヴァンガードといった全国展開のお店で、でんぱ組.incの服が買えるからウィッグも。"コスプレめちゃくちゃ推奨アイドル"として。髪型も、私が切りに行ってるお店に通うファンの子もいっぱいいて同じ髪型にできるけど、例えば普段ロングの子が変身したい時に、そのウィッグが被れたらいいなと思います。ぜひ商品化したいんですけどね。ピンキーに言わせると、髪型もばっちりやらないとコスプレじゃないとのことです。だから髪を売りたいです」
――それはぜひ(笑)。急ぎましょう!
「とにかくみんながなりたいキャラクターになりたいです。今年のハロウィンにでんぱ組のコスプレをしてる人がたくさんいたとのことで嬉しかったけど、まだ知らない人もいっぱいいると思うから、もうちょっとね、国民的キャラになれるために頑張りたいですね」
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